村上 嘉康
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セルフ工事の意味〜1  -2010.11.25-
  住宅一軒を造る事に携わる職種はかなりの数になります。
 二十数年前に比べれば工業化の影響もあり多少業種が減少しましたが、当事務所で設計させて
 頂いた建物を見直しますと、ざっと下記のような職種があります。
  基礎屋さん(東京周辺では鳶さん、頭と呼ばれています。)、大工さん、瓦屋さん、板金屋さん
 サッシ屋さん、建具屋さん、左官屋さん、外壁屋さん、鉄骨屋さん、内装屋さん、防水屋さん
 塗装屋さん、タイル屋さん、水道屋さん、電気屋さん、ガス屋さん(オール電化で減っています。)
 畳屋さん、空調屋さん、材木屋さん、建材屋さん、外構屋さん、足場屋さん、解体屋さん
 納入関係も含めれば、金物、防水シート、工具メーカー、住宅設備機器問屋、仮設関連等々
 30業種程の方々が携わって一つの建物が出来上がっていきます。
  世間ではコストダウンを努力して少しでも建築費用を安くしようと努力する方向に向かっています。
 当然、私達設計事務所も建築費用を含めてコストダウン努力を行っています。
  今、日本国内では建築業界に限らず人件費が高くなっています。先進国ではやむおえない事と
 思います。建築業界と他の製造業界の違いは、物を造る時に部品を人件費の安い国に持っていって
 組み立てるという事ができない事です。しかも、本来当り前であった仕事が今では特殊仕事に
 なり始めてしまっている修行をして初めてなれる専門職仕事が多い建築工事では余計に、その
 傾向があります。
  建築業界では業種によって多少違いはありますが、例えば100と算出された工事費用の内
 おおよそ60〜70が人件費で、30〜40が材料費ではないでしょうか。したがって、30〜40を
 占める材料費を仮に全て5%安く仕入れる事ができても全体的には100に対して1.5〜2程度の
 コストダウン貢献にしかならないという構図になってしまいます。しかも、全ての製品材料を
 5%ダウンで仕入れる事は不可能に近い事かもしれません。結果、相当な努力をした割には 
 あまり金額が下がらないという結果になってしまいます。
  大量生産をしなければならないハウスメーカーさん、あるいは建売業者さんは人件費節約の為に
 工業製品を多用します。これはこれで理にかなっていて同じ機能の物を取付ける場合も
 あらかじめメーカーでキット製品として組立て式で現場に納入されてきますから、作業は早く
 完了していきます。
  片や私達設計事務所の場合は、前にもお話しましたように、同じ物を造らない、造れないの
 意識からハンドメイドにこだわりがあります。もちろん、それを望まれるクライアントあっての事です。
 
  大変前置が長くなってしまいました。今回の冒頭に申し上げた各職種工事を御自分でやってみる
 という事が大変なコストダウンに繋がるという事です。但し、上記業種はどれも熟練技が必要な
 職種ばかりです。その中で最近クライアントが挑戦し、やり遂げられている業種が室内塗装工事です。
  当事務所の室内塗装に使用する塗料は最近よくいわれる自然塗料のみです。この塗料はありがたい
 事にプロが塗っても、素人が塗っても刷毛ムラがあまり目立たず仕上がりで一目だけでは技術の差が
 わかりにくい物です。
  室内の構造材、造作材、天井、壁、建具、床等を塗りますと工務店さんからの見積り金額が
 70万〜100万計上されてきます。クライアントが挑戦されるとこの金額がコストダウン対象に
 なります。もっとも、塗料と工具類は購入して頂ければなりませんから、それらが10万〜15万程
 掛かりますから実質は60万〜85万位がコストダウンになるのではないでしょうか?
 
当事務所での標準室内塗料です。カラーバリエーションも程々揃っていますので、インテリアに合せやすいと思います。
  という事でどなたでも簡単にできるかというと、そうではない事も事実です。普段専門職の方々が
 やる事を素人のクライアントがやるわけですから、時間(工務店さんの工期に合わせる事も含めて)
 根気、そして何よりも自分が工事に参加して自分の手を入れたという楽しみを思える事でない限り
 無理な事かと思います。
  それが結果コストダウンに繋がるという位でないと途中で断念という事になろうかと思います。
  この事は、そのような方針に興味を示されたクライアントには、いつも事前にお話させて
 頂いている内容です。


  
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