| 設計、デザインについて〜一般論で言う諸条件 -2010.10.05- |
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| 住宅を造ろうとした時に、予算、土地の法規、家族構成、そして造ろうとする家のテーマ捜しが |
| まずは最初の条件ではないかと思います。特に家族構成についての考え方は難しく10年後まで |
| 想像できるかどうかという事がかなり重要な条件かと考えます。得てして今の構成を基準にして |
| しまいがちになりますので、注意が必要かと思います。 |
| 一般の方が、御自分の家を造ろうと思われたら、まずは住宅展示場に行かれたり、雑誌を御覧に |
| なったり、テレビの住宅関連番組をよく見られると思います。その中で、こういう風な家に住みたい |
| あるいは、こんな家具を置いてこういう物を置く事ができたらいいなと思い始めるのだと思います。 |
| そして御家族とお話し、あるいは御仲間から助言を頂いたりしながら、色々な具体的諸条件を |
| 煮詰めていかれるのだと思います。 |
| そして並行してハウスメーカーの展示場を訪ねたり、知合いの工務店さんに相談されたりして |
| 条件を更に整えながら内容を具体化していくのではないかと思います。 |
| そして、おそらくその中で少数派である方々が私達設計事務所を訪ねてこられます。私達 |
| 建築設計事務所の場合は、クライアントから設計依頼のお話を頂き初めてお会いし、そして建物が |
| 完成するまでずっと長いお付合いが続きます。もちろん完成後のお付合いも続くのですが |
| 設計〜工事中は、定期的に打合せを続けていきますので、初めてお会いしてから建物完成まで |
| トータルで50〜60回位はお会いするのではないでしょうか。大きな事務所の場合は担当者が |
| 付きますが、一般的なアトリエ系事務所の場合は所長が担当者ですから、話は大変通じ安いと |
| 思います。当事務所もその運営形態でやっています。 |
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| クライアントも皆さんそれぞれの個性をお持ちになっておられますので、様々な条件をお持ち頂き |
| 打合せにのぞんできて頂けます。あるクライアントは私達の質問のみにお答えになり当事務所の |
| 提案を期待されている方、あるクライアントは雑誌等をお持ちになり、このような雰囲気の建物にと |
| 希望を出される方、又あるクライアントはインターネットで紹介されている間取図集の気に入られた |
| プランを、いくつかプリントアウトして、こんな間取りでと具体的に持って来られる方と、皆さん条件は |
| 様々ですが、ここまでで一つの概略条件が揃ってきます。そして条件は徐々に細部にわたっていきます。 |
| 住宅についていえば、必要なものは玄関(これについて考え方を変えれば要らないものかも |
| しれません。)居間(くつろぐ場所、平たく言えば無防備にダラッとする場所)食堂(御飯を食べる場所) |
| 台所(御飯を作り食品を保管しておく場所)便所、洗面脱衣室、浴室(排泄し清潔に保つ場所) |
| 寝室、個室(落ち着いて寝たり居られる場所)といったパーツの集合体になるかと思います。 |
| そして、そのパーツを繋げていく役目の廊下、階段が付属パーツ(場合によっては主役パーツ) |
| ではないかと思います。 |
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| 人の顔と同じで、目耳鼻口は誰もがほぼ同じ位置にありますが、大きさ、形、位置が誰もが少しずつ |
| 違います。私は建物もこれと同じと考えています。私達設計者は各パーツの部分的な大きさ形を |
| 検討しながらそれぞれの繋がりをああでもない、こうでもないと考えながら、頭の中で室内構成を |
| 考えていきます。当事務所の場合はその室内で考えたものが外観に表現できる事を目指しています。 |
| 長期に渡り設計を進め、その先に工事がありますので、途中基本の考え方がブレないように |
| 建物にテーマを付けるようにしています。このテーマを間違えると後々あらぬ方向へ流れていく事も |
| ありえますので、当事務所としては最重要な条件の一つとして考えています。 |
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| 建物を考えていく条件は法規がこうであるとか、予算がここまでといった事のみで建築の諸条件が |
| 決定するわけではなく、私達設計者と共にクライアントも同じ方向を向いて頂き、熟慮する事に |
| お付合い頂けると、目指していた物がブレずに良い物としてできるのではないかと思う次第です。 |
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